職務経歴書の正しい書き方
履歴書と職務経歴書の違い
「履歴書」は名刺的役割
履歴書は、これまでの学歴や職歴、資格、知識、スキル、趣味、ご家族のことなど、ご自身の基本的な情報を伝える“名刺”のような役割を持っています。読む相手がご自身の経歴や背景をイメージしやすいよう、わかりやすく簡潔にまとめてみましょう。
「職務経歴書」は自分自身の商品カタログ
職務経歴書は、応募する企業にご自身をアピールするために、これまでの詳しい職歴や専門的なスキル、特技、仕事での経験や成果、その背景にあるあなたの強みを伝える書類です。
企業が「本当に求めている能力や経験を持っているか」を見極めるうえで、3つの応募書類の中でも特に重視されるものです。
「添え状」で社会人の常識・志望意欲をアピール
添え状は、単に2つの書類に添えるためだけの送り状ではありません。社会人としてのマナーや志望する気持ちを伝えられる大切な書類であり、ご自身のセールスポイントを簡潔にまとめてアピールすることができます。
内容の構成としては、「就職を希望していること」から始まり、「希望する職種に対するご自身の強みや資格のポイント」「自己PR」「志望理由」「面接を希望する旨」「面接日時について担当者のご都合を伺う」といった流れでまとめると良いでしょう。
また、様式については、「職務経歴書と同じサイズ」「横書き」「必ず1枚に収める」という3つのポイントに気をつけましょう。
合格できる「職務経歴書」は2割だけ

求人企業の採用担当者が見て「合格」と判断できる職務経歴書は、実は全体の2割ほどしかありません。残りの8割は、自分本位な書き方になっていたり、内容が分かりにくかったりと、手直しが必要な状態です。せっかくのご経験や強みがうまく伝わらず、多くの場合、書類選考の段階でチャンスを逃してしまうことも少なくありません。もったいないことに、そのままのレジュメで転職活動を続けている方が多いのが現状です。
採用担当者の視点で書きましょう

まずは、読む人である採用担当者の立場になって書くことが大切です。特に「職務経歴書」は、いわば“仮想の面接”のようなもの。相手がどんなことを知りたいのか、どんな質問をしてくるのかを想像しながら、その答えを意識して内容をまとめてみましょう。書き終えたら、必ず一度は読み返してみてください。自分が「仮想の採用担当者」になったつもりで、「この人に会ってみたい」と思える内容になっていれば、大丈夫です。
職務経歴書作成前につかんでおくべき5つのポイント
【能力・経験・スキルを分かりやすく記述する】ことが基本ルールです。
これを実現するための4つのポイントをご紹介します。
POINT1 :書類の形式を決める
「職務経歴書」は、大きく2つに分けられます。
ひとつは「自らの経歴を時系列に従って書いていく編年体形式」。転職歴が少なく、一貫したキャリアを積んできた方に向いています。
編年体式の職務経歴書の書き方
経歴を古いものから順に時系列に記載する方法で、最も一般的な書き方です。基本的な構成は、入社・異動・昇進・退職などの見出しに沿った職務内容となります。最近のものほど、詳細に記載してください。
編年体式の作成ポイント
職務経験や役職が年代順に積み上がる経緯が分かり、熟成度をアピールしやすいため、同じ業務に長年携わってきた方、転職歴が少ない中での現在の能力を獲得した方に適した書き方です。最近の職務経験や能力を強調したい場合は逆年代順にします。
もうひとつは、「時系列ではなく、職務や開発実績などを軸に書くキャリア形式」。転職歴が多い方、職種を変えキャリアチェンジしてきた方に向いています。
キャリア形式の職務経歴書の書き方
時系列ではなく職務内容ごとに経歴をまとめる書き方です。基本的な構成は、経歴の要約、職歴(入社・異動・昇進退職など)と職務内容ごとの詳細(アピール)となります。同じ業務経験(キャリア)であれば、異なった部署・会社の経験でも、ひとまとめにすることが可能です。
キャリア形式の作成ポイント
時系列に経歴にこだわることなく、それぞれの職務における経験と業績を強調し、経験業務を分かりやすく説明できるので、幅広い経験を持っている方や転職歴の多い方に適した書き方です。
「各書類フォーマットダウンロード」ページに、サンプルを掲載していますので、参考にしてご自身に適したものを選んで書いてみましょう。
履歴書と職務経歴書のフォーマットをWord・PDF形式でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
POINT2 :具体的に書く
所属や役職、職種だけを並べても、企業の担当者には「どんな実績があったのか」「どんな部下を持ち、どのように指導してきたのか」といった、知りたいポイントが伝わりにくくなってしまいます。
たとえば、あなたが「営業課長」で、職務経歴書に「●●事業部 ○○営業課 課長として部下の育成や営業活動に取り組みました」と記載した場合、この内容だけでは「課長であること」「部下を育成していること」「営業活動をしていること」くらいしか伝わりません。これだけでは、書類選考を通過するのは少し難しいかもしれません。
企業側が本当に知りたいのは、次のような一覧のことです。
POINT
- どんな実績が評価され課長になったのか?
- 部下は何人で、どんな年齢なのか?
- どんな育成の仕方で、どんな工夫をしているのか?
- その育成で部下はどんな成長を遂げたか?
- 営業手法はどんなものか?
- 法人営業か、個人向け営業か、ルート営業か?新規開拓営業か?営業スタイルは?
- どんな実績があるのか、その実績は社内でどのレベルか?
- 実績をあげるため工夫していることは?
最終的に職務経歴書に記載するかしないかはひとまず考えず、こうしたことを洗い出してみましょう。エピソードや苦労話も書き出してください。一見デメリットに見えることもメリットに変わることがありますので気軽に書き出しましょう。
書き出してみると、自分自身でも忘れていたことが思い出され「随分がんばってきたな」と自信が湧いてくるのではないでしょうか。
POINT3 :数値化する
次のポイントは数値化です。取り組んだ業務をイメージで書くのではなく、期間や件数、金額など、できるだけ数字で明確にします。
例えば「○○のプロジェクトを短期間で成功に導く」と書くのではなく、「本来は1年計画の○○のプロジェクトをわずか6ヶ月間で成功に導く」と表現します。他には、「多くの顧客を開拓」ではなく「100社の新規顧客を開拓」、もっと詳しく言うと、「平均受注額500万円の新規顧客を3ヶ月間で100社開拓」と書けば評価しない人はいないはずです。
このように数値化してみると、アピール度がグンと増し、あなたの経歴が光り出します。
POINT4 :求人企業の欲しい人物像に合わせて強弱をつける
POINT1、2をふまえて書き出してみると、かなりの文章量になると思います。次は、それを「見やすいかどうか」「企業の欲しい情報かどうか」のポイントで整理していきます。重複した内容は1つにまとめ、企業が採用したい人材に関係ないものは削除します。
POINT5 :読み手の立場で書く
もう一度、職務経歴書を見直してみましょう。
その時に気をつけるのは「独りよがり」になっていないかどうかです。自分のPRしたい内容と採用担当者が求めている内容がマッチしていなければ、意味がありません。
この4つのポイントに注意して書いてみると、これまでの職務経歴書では見えなかったあなたの魅力が伝わってくるはずです。
職務経歴書作成の具体的な5つのステップ
「職務経歴書作成前につかむべきの5つのポイント」をふまえながら、実際に作成してみましょう。例として時系列での書き方をご紹介します。
STEP1 これまでの経歴(職種)を時系列で書いてみる
| 1995.04~1996.09 | ○○株式会社XX工場 経理 |
| 1996.10~1999.05 | ○○株式会社 本社 経理・総務 |
| 1999.05~2000.07 | ○○株式会社 本社 人事 |
| 2000.07~ | 株式会社○△商事 経理課 係長 |
STEP2 職歴に「職務内容」を加える
別ページの「職種別職務内容一覧」を参考に、それぞれの欄に職務内容を加えてみましょう。
| ○○株式会社XX工場 経理 | 原価管理 原価計算 棚卸資産管理 |
| ○○株式会社(本社) 経理 | 月次・年次決算処理 連結決算処理 税務申告 |
| ○○株式会社(本社) 人事 | 給与計算 社会保険 人事考課 採用 |
| 株式会社○△商事 経理 | 月次・年次決算処理 連結決算処理 税務 予算実績管理 資産管理 経理システム運用管理 |
STEP3 重点的にPRすべきポイントを見つける
求人企業側が「税務」に強い人材を求めているのか、「経理システム」の導入・運用をするための人材を求めているのか、などを考えて、どこを強調すれば高い評価が得られるか考えてみましょう。
STEP4 「職務内容」に詳細を加える
職務内容を骨格にして、具体的な業務実績、マネジメントの実績などについて、詳しく明記しましょう。
STEP5 蓄積された知識・技術、アピールすべきことを書き出す
資格、免許、各表彰、研修内容、プロジェクトへの参加など、アピールすべきことを明記しましょう。
総括
経営者が見ているのは「人間力・対応力・想い」です。
「転職する側の視点だけでは成功は得られません。経営者の側に立って何を求めているのかを考えてみることも大事です。経営者の多くは、その人の経験やスキルに加え、重要視しているのは「人間力・対応力・想い」です。「人間力・対応力」は、過去の成功体験などを振り返ってみてください。「想い」は一方的な熱意だけではありません。相手との想いと自分の想いが同じになるよに心がけることが大切です。「職務経歴書作成前につかむべきの5つのポイント」をふまえながら、実際に作成してみましょう。例として時系列での書き方をご紹介します。
成功のイメージを描きましょう。
転職した後のイメージ、例えば「どうすれば活躍できるだろうか」「そこに人生の成功はあるか」「会社は共に発展するだろうか」を描いてみましょう。さらに希望する会社が「どうしたら注目してくれるだろうか」「何が採用のポイントだろうか」を企業の立場に立って考えてみましょう。こうした成功のイメージを具体的に描くことで、本当の成功をぐっと惹き付けることができるのです。
「各書類フォーマットダウンロード」ページに、サンプルを掲載していますので、参考にしてご自身に適したものを選んで書いてみましょう。
履歴書と職務経歴書のフォーマットをWord・PDF形式でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。


